読書感想文

読書感想文を書くための私的ブログとなってます。@kansobun_bookでインスタしてます。

vol.124 星野リゾートの教科書

中沢康彦 著 日経BP

星野リゾートは異なる施設の問題に直面した時、極めて教科書的に対応した。

・星野代表の読み方は、いわゆる古典的な教科書を何度も精読する。そこから、その教科書のやり方を徹底的に真似するとういうものだ。

・教科書はいわばサイエンスの結晶である。経営というものを科学しており、それはあらゆる状況であっても、また変化の激しい今日であっても役に立つ。

vol.123 パン屋ではおにぎりを売れ

かんき出版 柿内尚文 著

 

・考えるとは広げることと深めることで構成される。具体的には、広げることは可能性を考えること。深めることは、本質的価値を考えることである。

・また、考えることは何かの目的に向かって意図的に考えることである。また、論理的思考では回答がある程度限定されるため、非論理的に考えてみることも大事だったりする。

・とにかく、ノートやホワイトボードに書く、言語化することは大事だ。こうすることで、脳がすっきりする。

・また、急に考えろ!と言われてもアイディア は浮かばない。思考貯金なるものを作っておくこと。

・考える時間、考える練習を意図的に作り、積み重ねていこう。

vol.122 みんなの「わがまま」入門

左右社 富永京子著

 

第1章

・社会はどんどん多様になってきている。外国人が入ってきたり、貧富の差が拡大し、LGBTの人々も増えてきている。こうした状況であるにも関わらず、人々は普通を捨てきれずにいる。

・ただ、属性として違う人々が集まっているものの、それぞれに共通する悩みは存在する。現代の社会運動では、この共通部分を探すことが重要だが、個人化が進んできた現代では、この共通部分を本にしてわがままを叫ぶことが乱暴になったと感じる。だから、わがままを可愛そう、恥ずかしいと思ってしまう。

 

第2章

・わがままを言うくらいなら他の案を出してくれという空気や価値観の押し付けだと捉える人がいる。社会運動に何か大きな期待を抱いていると思っている人が多い。

・ただ、わがままをいうことで、社会の制度の仕組みを変えるまでいかなくとも、周りの人々にその問題を認知させたりすることができる。こうして長い時間をかけて社会は変化していく。公共の場でわがままを言うのは迷惑と思うかもしれないけど、それは、やっても良いことである。

・わがままを言うことを、何かのイベントとして捉えるのもあり。

 

第3章

・わがままは、それを聞いたあと、議論して落とし所を見つけていく所が肝である。そのわがままがセーフかアウトかは主張した時点では決められない。

・わがままを聴く側は、そのわがままを持った人がその考えに至った背景を考えてみよう。先程も述べた通り、私たちの個人化が進み、属性もあまりにも違いすぎる。本を読む、自分とは全く違う属性の人と関わってみることで世の中には多くの人がいることを学ぼう。人を安易にカテゴライズ化しないこと。

・そして、わがままを聴く側も言うがわも表現には気をつけよう。話す側はおうち語化に注意。聴く側も、否定的な表現を避け、建設的な議論を。

 

第4章

・わがままを言おう。いきなり要求を突きつけるのではなく、モヤモヤを共有するのもあり。また、恥ずかしいという人は、自分の好きなこと・関心を述べることから始めよう。

・また、他の人のわがままを行ってみる、代わりのものを自分で作ってみる・買い方、選び方でもわがままを表現できる。こっそりやってみよう。

・社会運動なんて上手くいかない。ただ、訴えることで問題を認知する人が現れるかもしれない。そうして長い時間をかけて社会は変遷していく。また、私という人間も長い時間、確固としている訳ではない。その時と環境に応じて考え方は変わるし、辞めたくなったり、要求が変わることだろう。人はそれを無責任と批判するかもしれないが、もっとみんなが曖昧な社会で曖昧に生きてみても良いと思う。

 

第5章

・よそ者だからできること、おっせかいがある。自分ごととして引きつけて語ることを要求しがちだが、自分のことじゃないからできることがあると語れば良い。誰だってよそ者になる可能性もあるし、一見よその問題に見えても実はうちに繋がっていることが多い。

vol.121 オタク経済創世記

日経BP 中山淳雄 著

 

・日本のアニメが成長したのは、オタク経済圏を作り上げ、あの手この手でブームを続けてきたからだ。

ー制作方式ー

日本のアニメはアニメ制作委員会方式が主流だ。これは、アニメスタジオのみならず、出版社、音楽レーベル、放送局などが共同で出資して形成される。これは、誰か明確なリーダーシップを持たないという日本型経営の悪しき部分にも見えるが、こうすることで、構造上、薄給になるクリエイターにある程度、給料を捻出でき、アニメやコンテンツを様々な企業が手分けして版権ビジネスすることで収益を分け合える。収益を分け合えるので、原作者にも十分なロイヤリティーが入る。また、止め処ない版権商品の出現はユーザーの関心を止め、ファンとしての定着にも貢献する。

ーアニメの品質ー

日本のアニメはコストリーダーシップ戦略が代々取られている(熟練を重ねた職人が高品質なものを生産し続け、価格、品質の面で他社を圧倒する戦略)、無論アニメは制作に際し、お金も時間もかかるが、アニメによって盛り上げたファンを他の版権ビジネスで回収することでビジネスを成立させた。また、動画配信が普及した現代では、日本のアニメは高品質で安価なため、様々なプラットフォームから買い手がつく。

ーアニメ観とポジショニング戦略ー

日本のアニメはとにかく自由だ。海外では、子供の養育に良いものが求められているため、ヒーローものが好まれるが、日本はとにかく自由だ。これは、ニッチな層のユーザーを取り入れた。新日本プロレスでも、米の物は演出に重きを置いていたが、新日本プロレスは試合内容に重きを置いて、海外興行を成功させた。

ー3次元的なイベントの成功ー

ユーザーは共有経験、コミュニケーションを欲しがるものだ。もちろん、放送を見てSNSで感想を述べ合うことや、あちこちで推察大会が開かれるのもコミュニケーションだが、3次元でのライブイベントなどは特に強烈なコミュニケーションだろう。思うに、マーケッターの今後の役割は、こうしたコミュニティーのマネジャーや運営が主な仕事になると思う。

 

vol.120 なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか

扶桑社新書 野嶋剛著

 

・台湾がコロナウイルスの拡大を防げた理由

①専門職大臣 台湾では、大臣がその道に明るい専門職の人が担当することが多く、政治家ではなかったため。

②共同体力 中国という強大な圧力があるため、国民が一つの方向に向かってまとまり易く、また、人口も多くないことから、共同体力が高く、きめ細かいサービスを行えた。

③対中関係 台湾は、中国の隠蔽体質、WHOと中国の癒着を見抜き、信用しておらず、独自の情報収集を行い、対中遮断にも遠慮がなかった。

④公衆衛生力 台湾の対策チームは感染症の専門家は少なく、公衆衛生の専門家が多かった。医師と比べると人気がない学問だが、台湾は元より、これを重視していた。

SARSでの手痛い経験と反省 SARS発生時に、手痛い経験をした台湾は、そこから反省と検証を重ねて、今回実行に移せた。

⑥国民の政治参加意識の高さ 中国の脅威がる中で、台湾は政治に対する関心が高く、投票率も高い。選挙も一種のお祭りのような様相を呈しており、そこで培われた共同体力は、政府の厳しい規制に対しても受け入れられる原因になった。

vol.119 仕事選びのアートとサイエンス

山口周 著 光文社新書

 

・適職は様々なことを経験していく中で見つけるしかない。人生を浪費してこそ道が見つかる。そして、才能は地道な努力を積み重ねた先でしか発見できない。

・ただし、転職は必ず必要になってくるだろう。これからは目まぐるしく変化していく世の中になる。そのため、企業寿命がどんどん短くなるし、それに伴って転職をしていく必要がある。

・何か明確なゴールを設定するのではなく、自分の心をニュートラルに保ち、心の赴く方向に選択することがベスト。全く何もわからないのであればキャリアアンカーを見つけてみるのも良し。

・いい偶然は丁寧に毎日を過ごすことが重要だが、さらに言えば、同僚のような関係を多く持つことや人として譲れない美意識や規範を持つことが大事だ。

・その人らしい成果はストックで作られるが、やはり読書がいい。そして、本は面白がって読まないと定着しないものだ。

・転職する際は、得るものではなく、失うものにも目を向けることや、そして半年は待てないか問い直すこと。(良いことも悪いことも平均化する)また、宙ぶらりんの状態を耐え抜く忍耐も必要である。

・自由を獲得するには一度、大きな不自由を経験しないといけないだろう。これは、隷属的に働くことで得られるスキルだったり、その先に訪れる自由への耐性だったりする。自由は誰だって欲しいが、劇薬であることも理解しないといけない。

vol.118 「超」勉強力

山口真由 中野信子 著 プレジデント社

 

・学ぶことは知的領域を拡大して、自分の好きを探すことに繋がる。

・大人は、基礎教育の知識が身についていることから、より深く学ぶことができる。学ぶという行為を支えているのは言語処理能力であり、これを鍛え上げた大人なら、容易に内容を把握することができる。

・言語処理能力は社会で生きていくための重要スキルの一つである。これは、本を読むことで鍛えることができ、言語処理能力は、勉強力を養う。

・学ぶことは閉塞感を打破し、前に進んでいる感覚を得られる。自分の好きを把握したら、あとは、その土俵で戦うことを意識しよう。