読書感想文

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vol.11 マイパブリックとグランドレベル

田中元子 著 晶文社 出版

 

〜マイパブリック編〜

・著者は振る舞うことが好きだという思いから、自分で屋台を出したことをきっかけにマイパブリックという概念やまちづくりというものに関心を持った。

・振る舞うという行為は不思議なもので、お金を介さない無償の関係であるからこそ、気軽にできる楽しみであったり、客と自分との心地よい関係性が作り出せる。

アドラーの幸せ三原則では、自分が好きである。他者を信頼できる。社会に対して貢献しているということが挙げられるが、本著者は趣味を楽しむ三原則として、自分を満たす趣味、他者との交流を楽しむ趣味、社会に貢献できる趣味が良いとしている。

・日本は市民と行政の関係が成熟しておらず、そのため「公共」と呼ばれるものであっても、市民を置いてけぼりにしている。(例 公園)そのため、公共としてあったらいいなと思うものを自分から作り出して行くべきだと述べている。

・自分がそこにいてもいいという存在の承認、他者からの認容が今の人々に求められるものだと考えている。

 

〜グランドレベル編〜

・現在の都市計画で重要であるのは「グランドレベル」の充実である。グランドレベルとは、地上の目線で考えることで、筆者はとりわけ1階の重要性を説いている。

・日本の都市計画は鳥瞰的で立体を意識している。しかし、人々が過ごす大部分の時間はグランドレベルである。

・グランドレベルの充実は、エリアの価値向上、街並みの活性化、孤独死を防ぐコミニティの醸成など、直接的、間接的に今の日本が抱える問題を解決する手段になり得る。

・日本の都市計画は、「賑わい空間の創出」「緑豊かな空間」「健康で福祉的な都市」ていう感じでマジックワードを多様するばかりで、具体的なビジョンが思い浮かばない。海外は逆で、かなり具体的なイメージを打ち出し、視覚的にわかるようになっている。

・効果的なグランドレベルを作るには人とグランドレベルが出会う「からまりしろ」、人とまちが一体化する「かかわりしろ」、画的一体感をつくる「つながりしろ」の三点が大事である。

・まちづくりの真理は「自由が許されたグランドレベルである」と考えている。