読書感想文

読書感想文を書くための私的ブログとなってます。@kansobun_bookでインスタしてます。

vol.99 2030年の世界地図帳

SB Creative 落合陽一 著

 

第1章 変化の概観

・世の中を席巻する5つの破壊的テクノロジー

AI関連領域/5G/自動走行/量子コンピューター/ブロックチェーン

・その他テクノロジーの行方

食糧・完全なコントロールが可能か?/健康・AIの台頭も凄いが、再生医療による治療・予防にも注目/資源・太陽光が一大エネルギーに/都市・テクノロジーでより集積的に

/労働・専門職がAIに代替。

・デジタルイデオロギー

米型・成功した起業家が投資家に回るという好循環で牽引

中国型・国家統制で可能になったパーワープレイから生まれるイノベーション

欧州型・それなりの技術力とブランド力を武器に戦う

第三世界・近代を経由しない現代化は、法律などの規制がなく常識外れな物ができる。

対談:中間層が抜かれるのは、高い技術力を持つデザイナー・ハッカーと、低スキルでも、必要なサービス業に別れるからだ。高い技術力を持っても、リモートワークが発達し、言語の壁が取り払われば、全世界の人材と戦わないとならない。富は相変わらず、富豪に集まるが、人と比べる道具として見られ過ぎ。富は、溜め込むと経済の発展を妨げるので回すべきもので人と比べる基準であって欲しくない。投資はESG投資など社会還元的なものになっていければなぁ。

 

第2章

・アフリカの貧困は抜け出しつつある。資源頼りの経済、西洋に振り回された歴史、定着しない民主主義など問題は多いが、「Mペサ」などに代表されるテクノロジーによって経済が動き出している印象はある。

・問題は先進国内における相対的貧困。シングルマザーや子供・高齢者など、社会的弱者の貧困が目立ち始めた。また、移民者の流入によって、ギグエコノミー型の貧困がこれから増えていくと予想。

・いずれの貧困も鍵となるのは教育。所得と教育レベルには密接な関係があり、固定化されたゲームに見えるが、MOOCSなど、インターネットを通じた教育によって、変えられるかもしれない。

・アフリカの投資については、日本のODAのように利子をつけて頑張らすことも必要だろう。ばら撒きだと効果が低い。また、先行投資として今の段階から商品のブランディングをしていると将来、大きな利益をえられたりする。

 

第3章

・環境問題は関心が高い問題だ。私たちは、今までの地球史上、最も濃ゆい二酸化炭素濃度の中生活しているし、今の生活レベルを維持するなら地球は1.7個も必要になる。何より、これからの時代は、人間が地球に与える影響が最大化する時代になる。

・その中で、欧州は法と規制を打ち立てて、環境を守ろうという動き、中国はソーラーパネルの生産を通して、環境保護と同時に経済圏を構築しようとしている。

・注目はアメリカ。パリ協定の脱退など騒がれているが、アメリカはシェールガスなど、イノベーションを通じてこれを解決しようとしている。イノベーションを通じて限界費用を限りなく0に近づける狙いだ。

アメリカはディープ・エコロジーといって生命には平等の権利が与えられているとともに、自身のエゴを超えて世界は繋がっているという思想がある。その影響のもと、バイオ・リージョナリズムが生まれ、マインドフルネスやスローライフスローフード、場所の感覚が生まれたりする。この思想を端に発している企業がパタゴニアやザ・ノース・フェースだったりする。

 

第4章

 ・SDGsと欧州について。SDGsはどうみても、欧州式のゲーム。欧州は古くから法と制度の支配を行っており、その考えを世界に広めようという動きをとる。また、SDGs達成率も欧州が軒並み高い。

・法と支配といえば、「EU一般データ保護規則」(GDPR)もそう。今後、GAFAMやBATHはこのルールと戦うことになるだろう。GDPRは国家予算規模の罰金を課すこともあるが、昔、第二次世界対戦時、ナチスが情報端末を用いて国民を管理し、大量虐殺を行った反省からである。

・さて日本。日本は、米・中・欧の中間地点に活路がある。例えば、コンピュターの演算処理能力では日本のスーパーコンピューターはもう歯が立たなくなっているが、省エネなスーパーコンピューターなら得意である。欧州の打ち立てた理念に従順に同調しながらも組み合わせ技術で世界のトップをとっていく姿は、デジタル発酵の良い例だし、日本が生き残る道になると思う。

SDGsを日本に浸透していくには、SDGsの日本文化訳が必要だ。今の日本の生活では貧困に喘ぐ状況や、汚染された水での生活をなかなか想像できない。日本の思想と結びつけることで一気に浸透する可能性はある。