読書感想文

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vol.114 残酷な進化論

更科功 著 NHK出版新書

 

心臓

狭心症心筋梗塞は、心臓に酸素を送る冠状動脈が詰まることで起きる。この血管はかなり遅いものであり、健康な生活をしててもこれらの病気は発症する。生物は子供の数さえ増やせれば個体の生存などどうでもよいのである。

 

・人は気管支によって呼吸をし、数億個ある肺胞は、それを囲む毛細血管を傷つかせないために、心臓から低出力で血液が送られる。複雑だが、非効率だ。例えば、鳥は、一方通行で空気が回るため、ヒマラヤを超える高地を飛べ、魚は肺に空気を送ることで鰓呼吸では足りない酸素を取り込み、取り込んだ空気が浮き袋の役割を果たし、溺れない。

 

腎臓

・タンパク質は分解で毒性の強いアンモニアが発生する。人は、これを尿素にして排出する。

しかし、鳥は、尿酸というもっと毒性が低いものにして、最悪、これを蓄積させることができる。人は参加の頂点ではなく、進化は進歩というわけではない。

 

・私たちの腸には無数の細菌がいる。この細菌が消化を助けてくれるのだが、小さなアミノ酸や単糖は腸内細菌に狙われる。これが横取りされないために、わざわざ大きい、マルトースや二糖を再び作っている。

 

ミルク

・ミルクに含まれる成分、ラクトーセはラクターゼを分解するのに使われる。乳児は、自分でそれを作り出せないから、ミルクから採取する必要があるが、大人は不要だ。しかし、多くの人はこのラクトーセを分解できるようになった。ミルクを飲むことが生存や繁殖に有利だとわかると、無駄ではありながらも、それを分解する力を身につけた。

 

・私たちの進化は一方向ではなく、行ったり戻ったりだ。それぞれが住む環境の最適解こそが尊いもので、それ以外のものを見下すのは違う。

 

脊椎

・脊椎はその中を通る骨髄や中枢神経を保護するためにあるが、私たち人間は直立することと引き換えに腰痛に悩まされた。ただ、脊椎は発生する上での制約が多く、進化は難しい。

 

ヒトとチンパンジー

・人もチンパンジーも長い年月で同じくらい進化している。人は目立った変化が大きいがため、他の種を下に見るかもしれないが、それは違う。

 

進化

・進化する上で大事なのは、今の環境での適応度を上げることであって、将来を見据えるということではない。進化は偶然で発生することもあり、風が吹けば桶屋が儲かる的な確率になる。

 

骨盤

・進化はあっちが立てばこっちが立たずみたいだ。人間の骨盤は歩行と出産の二つを考えないといけない。しかし、歩くことに妥協を許せない結果、難産になった。また、脊椎がS字カーブになることや頭が大きいことも要因になる。

 

生存競争

・これは必ず起きる。動物は事故や病気で亡くなる可能性も考え、子供を多めに産むが、地球が有限である以上、溢れていく個体が発生する。

 

一夫一妻

・人は進化して、手を使えるようになり、食べ物を運搬できるようになった。霊長類では、いまだ乱婚か多いが、一夫一妻だと自分の子供を見極め、生存率を高められるのでこの制度になった。また、人の子供は非力であるため、誰かの世話が必要ということでも、おばあちゃん仮説だったり、手伝う人が必要だ。

 

自然淘汰と生存競争

・生物は今の環境に適応するために変化し続ける必要がある。そのためには、生存に不利な種を切り捨て、有利な子を生み続け、自然淘汰を働かせないといけない。これがなくなると、寿命はなくとも、環境変化に耐えきれず絶滅してしまう。生き物は死から生まれる。そうして、生存競争を勝ち抜く必要がある。今ある自分の命を大事に生きていこう。