読書感想文

読書感想文を書くための私的ブログとなってます。@kansobun_bookでインスタしてます。

vol.115 貧困のない世界を作る

ムハマド・ユヌス著 早川書房

 

第一部

・ソーシャルビジネスとは投じたコストの回収を最優先にしながら、社会的問題を解決するために地球に奉仕する新しいビジネスである。これは利益を最大限追求するBPMNPOなどの慈善事業とは異なる。今あるやり方は大きく二つで、先進国の商品を格安で販売したり、サービスを提供し続けるというやり方と、まずは自分たちで会社を作り事業を回した後、貧困層の人にマイクロクレジットを通して所有させるというやり方がある。

・残念ながら、CSRや慈善事業、BPMでは地球の問題を解決することはできなかった。寄付頼りで自走ができなかったり。社会的使命を掲げながらも、いつの間にか利益追求が主となってしまったりだ。

・ソーシャルビジネスは投資の世界でも活躍する。経済原理では、人々は利益追求を第一と見做しているが、毎年、多額の寄付が集まる背景から、人々は世界をよくしたいという思いを持っていると思う。ソーシャルビジネスはその思いと、利益追求をマッチさせた新しい答えだ。

 

第二部 

グラミン銀行はなにもかも新しい挑戦をした。まずは、貧しい人々を一律に信用しないということをやめた。銀行は、金を持っている人に金を貸したがる。それは、お金を返してくれるという信用があるからだ。しかし、貧しい人々もきちんとお金を返してくれた。彼らを、一人の信用にたる存在と見ただけで、彼らは、経済を回して、約束も守ってくれた。また、人を画一的に見るのもやめた。彼らはそのステージによって様々なニーズを抱えている。子供には奨学ローンを行い、その中でもグラミン銀行は女性の力に着目した。女性に対しての積極的に出資を行い、彼らが仕事をしている手工業を支えた。また、グループ会社を通じて、テレフォンレディやヨーグルトレディなど積極的に採用した。

・これまでの政策では、人々に職を与えることが大事だとして、工場を立てたり、職業訓練所を立てたりするが、途上国にはすでに職を持ち生活している人がいるので、それを伸ばしていくのが良いだろう。

第三部

グローバル化やテクノロジーが発達していくなか、途上国も今までにない立場にある。世界と繋がり、その恩恵を得れるが、資本主義が進んだ世界は環境問題が深刻になり、気候変動に悩まされている。今後は、こうした観点からもソーシャルビジネスを支えていくだろう。

グラミン銀行の事業とノーベル平和賞を結びつけるのは非常に分かっている。貧困はいずれ、平和への脅威と現れる。その前に、多くの人の貧困を脱する必要がある。