読書感想文

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vol.121 オタク経済創世記

日経BP 中山淳雄 著

 

・日本のアニメが成長したのは、オタク経済圏を作り上げ、あの手この手でブームを続けてきたからだ。

ー制作方式ー

日本のアニメはアニメ制作委員会方式が主流だ。これは、アニメスタジオのみならず、出版社、音楽レーベル、放送局などが共同で出資して形成される。これは、誰か明確なリーダーシップを持たないという日本型経営の悪しき部分にも見えるが、こうすることで、構造上、薄給になるクリエイターにある程度、給料を捻出でき、アニメやコンテンツを様々な企業が手分けして版権ビジネスすることで収益を分け合える。収益を分け合えるので、原作者にも十分なロイヤリティーが入る。また、止め処ない版権商品の出現はユーザーの関心を止め、ファンとしての定着にも貢献する。

ーアニメの品質ー

日本のアニメはコストリーダーシップ戦略が代々取られている(熟練を重ねた職人が高品質なものを生産し続け、価格、品質の面で他社を圧倒する戦略)、無論アニメは制作に際し、お金も時間もかかるが、アニメによって盛り上げたファンを他の版権ビジネスで回収することでビジネスを成立させた。また、動画配信が普及した現代では、日本のアニメは高品質で安価なため、様々なプラットフォームから買い手がつく。

ーアニメ観とポジショニング戦略ー

日本のアニメはとにかく自由だ。海外では、子供の養育に良いものが求められているため、ヒーローものが好まれるが、日本はとにかく自由だ。これは、ニッチな層のユーザーを取り入れた。新日本プロレスでも、米の物は演出に重きを置いていたが、新日本プロレスは試合内容に重きを置いて、海外興行を成功させた。

ー3次元的なイベントの成功ー

ユーザーは共有経験、コミュニケーションを欲しがるものだ。もちろん、放送を見てSNSで感想を述べ合うことや、あちこちで推察大会が開かれるのもコミュニケーションだが、3次元でのライブイベントなどは特に強烈なコミュニケーションだろう。思うに、マーケッターの今後の役割は、こうしたコミュニティーのマネジャーや運営が主な仕事になると思う。