読書感想文

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vol.122 みんなの「わがまま」入門

左右社 富永京子著

 

第1章

・社会はどんどん多様になってきている。外国人が入ってきたり、貧富の差が拡大し、LGBTの人々も増えてきている。こうした状況であるにも関わらず、人々は普通を捨てきれずにいる。

・ただ、属性として違う人々が集まっているものの、それぞれに共通する悩みは存在する。現代の社会運動では、この共通部分を探すことが重要だが、個人化が進んできた現代では、この共通部分を本にしてわがままを叫ぶことが乱暴になったと感じる。だから、わがままを可愛そう、恥ずかしいと思ってしまう。

 

第2章

・わがままを言うくらいなら他の案を出してくれという空気や価値観の押し付けだと捉える人がいる。社会運動に何か大きな期待を抱いていると思っている人が多い。

・ただ、わがままをいうことで、社会の制度の仕組みを変えるまでいかなくとも、周りの人々にその問題を認知させたりすることができる。こうして長い時間をかけて社会は変化していく。公共の場でわがままを言うのは迷惑と思うかもしれないけど、それは、やっても良いことである。

・わがままを言うことを、何かのイベントとして捉えるのもあり。

 

第3章

・わがままは、それを聞いたあと、議論して落とし所を見つけていく所が肝である。そのわがままがセーフかアウトかは主張した時点では決められない。

・わがままを聴く側は、そのわがままを持った人がその考えに至った背景を考えてみよう。先程も述べた通り、私たちの個人化が進み、属性もあまりにも違いすぎる。本を読む、自分とは全く違う属性の人と関わってみることで世の中には多くの人がいることを学ぼう。人を安易にカテゴライズ化しないこと。

・そして、わがままを聴く側も言うがわも表現には気をつけよう。話す側はおうち語化に注意。聴く側も、否定的な表現を避け、建設的な議論を。

 

第4章

・わがままを言おう。いきなり要求を突きつけるのではなく、モヤモヤを共有するのもあり。また、恥ずかしいという人は、自分の好きなこと・関心を述べることから始めよう。

・また、他の人のわがままを行ってみる、代わりのものを自分で作ってみる・買い方、選び方でもわがままを表現できる。こっそりやってみよう。

・社会運動なんて上手くいかない。ただ、訴えることで問題を認知する人が現れるかもしれない。そうして長い時間をかけて社会は変遷していく。また、私という人間も長い時間、確固としている訳ではない。その時と環境に応じて考え方は変わるし、辞めたくなったり、要求が変わることだろう。人はそれを無責任と批判するかもしれないが、もっとみんなが曖昧な社会で曖昧に生きてみても良いと思う。

 

第5章

・よそ者だからできること、おっせかいがある。自分ごととして引きつけて語ることを要求しがちだが、自分のことじゃないからできることがあると語れば良い。誰だってよそ者になる可能性もあるし、一見よその問題に見えても実はうちに繋がっていることが多い。