読書感想文

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vol.73 子どもの脳を傷つける親たち

 NHK出版新書 友田朋美

 

・まず「虐待」という言葉が重すぎる。ここでは、教育について不適切な行為として「マルトリートメント」と定義する。

 

・虐待について4種類ある。

身体的虐待・性的虐待・ネグレクト・心理的虐待

 

・身体的障害の場合、体罰などで目に見える形で発現するため発見されることが多い。しかし、暴力を振るわれた子供は「自分が悪い」「親の機嫌を伺おう」とするため脳が変形。結果、自己肯定感の低下、無感情な人に育ってしまう。また、自身が暴力を振るうなど、攻撃性が増す。

 

性的虐待の場合、まず発見が難しい。目に見える形でわかるのは性病や妊娠となってしまう。また、周りの視線を気にして自分から話すことも少ない。また、長期間続くことが多いので、虐待を受けているという自覚もない。この場合、「自分は無価値」という自己肯定感の低下やトラウマ、うつ病、解離が起こる。

 

・ネグレクトは、何気なくやってしまいがち。これがひどいと愛着障害が起こり、達成感、やる気などを感じない。健全な人間関係を結べないという傾向にある。また、愛着障害の症状として、何かの依存症にかかる傾向にある。愛着は「あなたは愛されている」「戻ってもいい場所がある」と子供にスキンシップを通して教えることであり、親を起点にして様々なことに挑戦して成長していく。

 

・また、夫婦喧嘩、目前DVを見ると、聴覚野のシナプス剪定がうまくいかなくなる。そのため、言葉から必要以上に負荷がかかってしまい、人と関われなくなったり、心理的難聴になる。

 

・この様に何かしらの障害を負った子どもは何かしらの脳の変形を負う。身体的虐待は視覚野、性的虐待は視覚野、前頭前野、海馬など。

 

・脳の治療は薬物療法心理的療法がある。投薬としては抗うつ剤心理的療法としては遊戯療法、曝露療法、EMDR(催眠ぽっいやつ)など。いずれも、子どもに対して口出しせず、思いのままやらせること。ものを投げるなどしても禁止させない。また、大人は「こうしたら?」という提案をしがちだが、これも控えること。

 

・罪を憎んで人を憎まず。子どもの人格を否定する様なことまで言ってはいけない

 

・この様に障害が出る子どもは、親も同時にうつだったり、自身が子どもの頃マルトリートメントであることも多いので一緒に治療すること。

 

・愛着は「親と同じ様に接する人」「親以外」でも成立する。ただ、愛着がないと、あまのじゃくみたいな「反応性愛着障害」や誰でも愛着を示す「脱抑制型対人交流障害」が出る。(将来、人間不信、馴れ馴れしい人になる)