読書感想文

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vol.25 東京一極集中時代の100年企業戦略

宮沢文彦著 東洋経済新報社

・まず、東京一極集中は続いていく。一極集中は経済合理性に適ったものである。都市力ランキングでも東京は上位に入るほどのものであるからである。(水が良いなど。また、リニア新幹線開通によりセントレアが東京圏に入るようになれば交通インフラの弱点も克服される。都市別のGDPも高く、人口、観光力にも優れている。)災害リスクは確かにあるが、それはどこの土地に投資するにしても一緒のことだ。むしろ、災害による建て替えにより、不動産価値が上昇するところまである。

・東京の不動産は下がりづらい。需給と供給のバランスから考えるに東京の不動産はすでに供給がタイトな状態にあり、希少性が高いというのが一つ目の理由である。また、日本国内における貨幣流通量は増えている傾向にあるため、貨幣価値が下がるのと相対的に不動産など金融資産の価値が上がる。特に上がるのは都心の一等地で、商業地である。

・投資先としては、中小規模施設の一部屋が最適である。ペンシルビルの上階などは、施設整備が難しく管理コストがかかることが考えられる。また、区分所有がおすすめである。一つの建物を丸々管理する場合、管理コスト、空室リスク、初期投資が一人の大家さんにかかる他、地域や建物条件など幅広い組み合わせが行える。

・東京に集まってきたカネをどうやって分捕って地方に入れるかという発想が大事。また、東京の特徴として第三次産業に強いことが挙げられる。東海地方は、第二次産業を通して、東京にあるお金を地方に還元している。地方銀行も、地域に投資したいという思いを抑え、東京への投資に積極的な見方をすべき。地方で新しい仕事をしようにも、スケールメリットを生かせない地方において第三次産業が発展するとは思えない。

・100年企業を創る上で何が大事かというと、本業以外の事業からいかにして継続かつ安定的な収入が活かせるかだ。特に地方中小企業は、日本の経済を支えてきた存在でありながらも相続が心配されている。不動産はこれらに対する一つの答えである。

・貨幣は今までの時代だと確かに重宝されていた。長くデフレが続いている時代においては、貨幣価値は上がり続けるもであり、逆に金融資産の価値は下落するので、貨幣を持つことが安全だと思われていた。しかし、異次元の金融緩和があり、国内に大量に貨幣が流通するようになり、逆のことが起こると考えられる。また、企業経営においても、流動資産(現金化が容易な資産)は高い価値を持っていたが、逆の発想が必要になってくる。