読書感想文

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vol.84 君主論

第1章 支配権の種類、獲得方法

世襲君主による獲得と共和制の獲得がある。支配権は、軍隊、幸運、実力で得る。

 

第2章 世襲君主

世襲君主が統治は新規獲得の土地を統治することより容易。祖伝来の秩序を維持し、諸々に適切に対処するだけで良い。そのため、臣民を傷つける理由も必要もなく、甚だしい悪徳をしない限り臣民から好かれる。また連綿と続く支配は革新をも起こさない。一つの変革は次の変革を生む。

 

第3章 複合的君主

新しく成立した君主は困難が多いため、その統治に工夫を凝らす必要がある。というのも、君主を変えて、統治の改善を図るため臣民が武器を執り反乱を起こす場合が多いからだ。風慣習が似ているところであれば、言語が異なっていても統治は容易であるから前の君主の血統を根絶やしにすればいいが、風慣習が異なっている場合は統治者自らが居を構える、もしくは植民することが必要となる。この場合、君主に懇意になってくれる者はますます懇意になり、反乱を企てる者は恐れをなす。加えて、前の君主の勢力を削ることができる利点もある。実際に居を構える時に注意することは先の災厄を察知したらその瞬間に断ち切ることである。戦争というものは、放っておけば誰にも止められない怖さがあり、いずれ避けられないものになってしまうからだ。新しく得た領土は、奪い返されることも多いが、その経験を踏まえ、自らの弱い所を削ぎ、新たな勢力で臨めば、再獲得を得て、さらに強力な組織を作ることができる。

 

第4章 アレクサンドル王国の考察

君主国の統治形態は二つ。君主と大臣による統治、君主と諸侯による統治がある。前者は、君主から任命された恩義を持つと同時に君主は彼らの転任、罷免を行える。このため、不正や腐敗は上層部では起きにくく、民衆と大臣の関係性はドライなので彼らが結託することも少ない。外部からの巨大勢力によって切り崩すしかないが、もし勝ったら統治は容易だ。後者の場合、君主の権力が限られてしまうため、諸侯が好き勝手してしまい、腐敗も起きやすい。諸侯と臣民の関係は良い場合もあるので、軍事的にも強敵となり、仮に勝っても統治は変革に次ぐ変革で支配権は無くなることが多い。

 

第5章 元共和制国の統治

元来、自由な国制だった所は君主が居を構えるという方法の他にも、その地域を破壊し尽くすやり方、寡頭制をとるやり方がある。寡頭制の場合、失敗する覚悟が必要だ。支配者や法の据え置きは確かに穏便な方法ではあり、支配者からの反逆は極小であるが、臣民が自由や復権を唄い反乱が起こる場合が非常に多い。人々は昔の記憶を捨てられないもので、形は変わらずとも支配に対する復習心を持つものである。一方、徹底的に破壊した場合、共和国臣民は服従に慣れても自治能力は持っていないので、新たな君主を臣民から選ぼうにもうまくいかず、容易に乗っ取ることができてしまう。

 

第6章 武力による新規獲得

どんなに有能な人であっても新規に領土を獲得する際は困難に遭遇する。これは、旧来の制度で恩恵を享受していた者の反発という不可避なものであり、新しい制度、法を構築する上で避けて通れない。領土獲得は幸運によるものと実力によるものとがあるが、実力を持った者が統治を維持するのは容易い。


第7章 幸運による新規獲得

上手く行かず困難が多い。人の意志と幸運は不安定であり、私人から帝位になった者、誰かからの好意で大臣となった者は上手くいかない。もし、幸運で新規に統治領を獲得した場合、基礎固め(というより為すべきこと)を行う必要がある。自身の性格も去ることながら、怪しいものは絶滅させ、味方を得て、力を着実につけていく。王や君主と友好的な関係を持ち、恐れられると同時に愛されることを両立していかなければならない。


第8章 暴力による支配

暴力は、自分の有能さや幸運に左右されず新規に領土を獲得する手段だ。これは有徳でなく、栄光はないが、暴力支配を長期間、安定して続けることも可能である。ポイントは、暴力を上手に使うことであり、悪用しないことである。悪用すると暴力は止まらず、やがて臣民からの反感を買ってしまう。ただ、君主たる者、臣民と共に暮らし、常に変わらぬ行動を執るのが理想である。


第9章 市民から支配者へ

市民からの支持を得ている者が支配者になった場合、民衆と友好的であることは大いにプラスである。貴族は、少数にして非力であるが、野心深く、狙っている貴族には注意を払わなければならない。いずれにしても、君主が臣民から支持を得ることは統治の絶対条件である。

 

第10章 支配者力の測定

 他国を侵略する力を持つ必要はないが、自国の守りを強固なものにし、軍事訓練を怠らず、食料などの備えをきちんとしていれば、敵からの攻撃を凌ぐことはたやすい。食料などの備蓄は目安1年間持っていること。人々は自分受けた恩恵と自分が与えた恩恵どちらにも義務感を持つものであるので、防衛線とする人々の士気も愛される君主であれば高い状態になる。

 

第11章 教会による支配

 君主として特殊な部類に属するため詳しく議論することは避けるが、宗教という古い制度に支えられ意外な程、安定感がある。教皇が権力や金を有していれば尚更である。但し、宗教は派閥争いが激化する傾向があるので注意。

 

第12章 軍隊と傭兵

 君主は援軍や傭兵を用いず、自らの軍隊を組織しなければならない。傭兵は自身の権力の拡大を目論み、極めて野心的である。平時においては悪事を働き、戦時においては胡散霧消になる。自らの軍隊を組織したら、その司令官には君主自らがなり統制すること。これを他人に委ねてはならない。また、分隊などを編成する時は優秀な者を採用し、強力な法でその権限を制限すること。軍と法律は相互に関係し、より強固な軍隊と強固な法が安寧な統治を生み出す。

 

第13章 軍隊と援軍

 援軍もまた恐ろしい。自ら相手の軍を招き入れることは、かなり危険な行為であり、裏切りによる襲撃が怖い。傭兵は、無気力で治安を悪化させてしまうことが何より恐ろしいが、援軍はそれが有能であればあるほど、反乱時に勝てなくなる。このように、自らの力に基づかない権力は大変不安定である。

 

第14章 軍事における君主の義務

 平時においても、君主は戦争におけることのみを想定し事欠かないこと。優雅な生活をし、美を求め、贅を尽くすような生活をしてはならない。君主は戦時おける司令官となるため①常に戦時を想定した会話を行い、想定演習を繰り返し、自説を述べ、意見を交わさなければならない。②昔の偉人に触れ、どのような背景で、どのような戦いを行い、勝敗は何を持って別れたかを考察、検討していかなければならない。

 

第15章 賞賛される君主、非難される君主

 臣民からの君主の指示は大変重要である。評判を分ける要素としては様々なものがあるが、全ての優れた要素を持ち合わせるというのは大変困難だし、もし仮にそれが実現しても、どこかで不都合が生じるだろう。ここから、「君主は悪評を避ける」という戦略をとるのは良いと考える。

 

第16章 気前良さとケチ

 気前の良さは賢明にわかりやすい形で提示してはならない。それは浪費を生み、更なる課税を生んでしまうからである。気前の良い君主は、そうやって憎悪やを買い、民衆を抑圧し、軽蔑され、強欲になる。戦争を行い、その戦利品を分配するという事柄においては、軍隊の従順性を高めるために気前の良さが必要になるが、それ以外ではケチであるべきである。歳出を抑え、適切な税を取り、軍隊や防衛を強化するのは大変重要な事だ。

 

第17章 愛されること、恐れられること

君主は愛さられるよりも、恐れられることを目指すべきだある。というのも、君主であるからには、臣民は性悪説として考え、安易に信用せず、彼らは自らの意に従って人を愛する。そのため、愛する人を攻撃することに躊躇いを感じにくい。ただ、恐れられるのと憎まれることは分別でき、臣民の財産や婦子人を略奪しないだけで済む。残酷という評判を恐れず、まとめ上げるための過程として必要と学べ。

 

第18章 信義

信義を持ち、慈悲深く、誠実である。これは有益なことであり、そう見せることは大変良いが、争い事を制するため、偽善的で、非道徳で、腹黒で、不誠実なことが要求される場合には、間違いなくそうすべきである。君主は、その運命の風向きによって自分の内面を変化し、最終的に勝つようにしなければならない。

 

第19章 避けるべきは軽蔑と憎悪

ともかく、君主は憎悪と軽蔑は避けねばならない。憎悪は内乱を呼び、軽蔑は外患を刺激する。また、フランス王国のように、王はその統治において、悪名を呼ぶことは他人にさせ、恩恵を与えるのは自ら行うようにするのも良いだろう。思うに、獰猛な獅子の性格と狡猾な狐の性格を合わせ、恐れられて尊敬されて、憎まれないのが君主として持っておきたい資質である。最後に、貪欲で略奪を行う兵士と、平和と平穏を望む臣民という二層を統治する難しさについてだが、基本的には臣民の方が権力を持っているので、そっちを大事にしてみよう。

 

第20章 君主の日常

臣民に武装させた時、その武装を解除することは彼らを傷つけることになる。彼らは自前の軍隊として重宝し、他のものと比べて待遇に差をつけることで忠実を集めよ。ちなみに、君主は何か大きな困難や障壁を乗り越えて行く度に偉大になるので、常備戦力を持ち、巧みに敵を作っては倒し…を繰り返す者もいる。あと、侵略に際し、味方となった者はその理由、根拠を探ること。単に好意ではなく、元々の支配者に満足いってなかったという理由では、裏切られてしまう。

 

第21章 君主の尊厳

尊敬の念を集めるために、日頃からの内政や祭りなどの開催、功労者の表彰をすることはもちろん重要である。一つ、覚えて欲しいのは、中立政策はうまくいかないということである。付近で争いごとがあれば旗幟を鮮明にするべきである。やはり、不都合を先送り・回避したところでまた先に不都合が現れるだけである。この不都合の特性を知り、なるべく少ない被害で潜り抜けていくことが様は賢明である。

 

第22章 臣下の選任

人の脳には3つの機能がある・自分の力で解する・相手の意図を察知する・自分では解さず、相手のことも理解しないだ。もちろん、3つ目の者は無能である。他人の支配権を任せられる者はそれなりの忠誠や能力が必要なのでしっかり見極めよう。

 

第23章 追従を避ける

配下には、地域からの賢人を選び、真実のみを語らせ、自身が下問したことにも答えさせること。人は自分事の評価は極めて甘く、真実は容易く捻じ曲げる。また、君主は己の判断で物事を為すべきであり、それ以外の雑多な要望に応えているようでは何もできない。ただ、内情は把握してないといけないので頻繁に下問するなど、コミュニケーションはとっておこう。

 

第24章 イタリアが支配権を失った理由

 

第25章 運命論

思うに、運命は自身の環境の半分を裁定、残りを自身の行動で決めると感じる。あまりのも運命に頼るのならば、その栄枯は運命とともになる。行動様式は運命に逆らう力がある。運命を味方につけるには、勇敢で打ちのめされ、突いたりと行動的になる必要がある。

 

第26章 イタリア解放への夢

 

行動計画

・行動に法則性をつける。

・コミュニケーション量を増やす。

・腹黒さを覚え、戦い事を制する。