vol.112 シン・ニホン
安宅 和人 著 Newspicks
第一章
・AIと聞くと深層学習としてあらゆるものを学習するイメージを持つかもしれないが違う。
特定の領域において高い計算が行える環境に大量のデータ、それを処理するためのツールがあって初めて成立する。
・データも持つだけではダメで、それを処理するためのシステムがあるかが重要。
・企業の壁はさらに無くしていき、ある特定の分野が強い企業が勝つ。Uber は優れた配車システムを持っているだけで、決済システム、通話システムは既存のもので、地図はgoogle mapである。
・またAIを活用するビジネスは早いものが勝ちやすい。データを集め、打ち手が向上、サービスの向上、利用者の増加、データの収集という正のサイクルが良くまわるようになる。
・これからは富を集める人は、夢×技術×デザインする人。ただ技術を持っているだけではダメ。
第二章
・この国は埋もれている。若者の3割は低賃金で貯蓄がなく、女性や高齢者の可能性も高い。
・日本は第二、第三の波で勝つ。AIを支える基幹的な技術開発には大きく遅れているが、出口となる産業では勝てる。
・まずはAI ready化してそこから、妄想力をもとにしたサービスで上回ろう。若い人を積極的に応援して、時に全てをご破算にする大胆さをもって世の中を変えて行こう。
第三章
・これからは、覚える力より気付く力を育てていくべきだ。自分が知覚して、経験したものが、表現されることこそ真の価値がある。
・世の中は数字や言葉で表せないことが大半だ。感覚をもっと大事にしよう。
・AIは自分が行なっている作業の意味までは理解しない。ここから、真の問題解決はAIのみでは成り立たず、人間による思考力や見立て、課題設定はこれからも重要だ。
・これからは異人の時代だ。何かに突き抜けた存在が常識を突き破る。あとは、その異人が生き残るための空間を整備したいところだ。
・これからなら学びはリベラルアーツはもちろんだし、MOOCなどで学んでいけば良いが、人間性もまだまだ重要な要素だ。
・人の行く方向は部品化の道で、その世界ではどの組織に所属しているかで判断される。狭く、誰も行かない道へ挑み、独自性を主張すること。
・ビジネスにおいては、ビジネス力、データエンジニア力、データサイエンス力の三つを備えていきたい。
第四章
・これからの教育は国語もさることながら、数学が大事になってくる。
・また、小学生や幼稚園からデータとAIを利用したリアルな体験を行わせることが望ましい。
・自分の意思やらしさを考えたり、サイエンスの理解を深めることや、世界語(英語、中国語)を取得させることも大事だ。
・また専門家やリーダー層を育てるのも大事だ。
第五章
・ともかく、化学技術振興費が圧倒的に足りない。大学院の研究でもお金が、大学院の教授のお金も減少している。そのため、国内で優秀な人材はどんどん海外に流出していき、業績も外国語も中途半端なBクラス人材しか残らなくなる。
・今の日本の予算は高齢者へ編重し過ぎだ。これを2兆円。社会保障費の2%ぐらいを回すだけで良い。自動化や医療の松竹梅(エコノミー・ビジネス・ファースト)などでコストを削り、大学への補助・子供への積み立てなどを行うべき。
・また、基金による運用も積極的に行うこと。アメリカの大学では、既に大学財源は個人や企業からの献金も多いが、大学独自で運用して得ている。日本も、100億程度の基金を用意し、年率10%で運用し、得た投資収益の3.5%ほどを残して再投資するなどのシステムにすればよい。いずれにしても、高齢者ばかりにお金を使わず、若い人にも投資をしていくべき。
第六章
・著者構想の風の谷について
・成長どうこう言う前に星が持たないという事実を受け止めましょう。SDGsもこうした状況から生まれた概念である。
・人口減少はマイナス側面として語れる場合が多いが、環境のことを考えれば納得できる動きであり、国外に市場を求めて進出していくなら経済の衰退も食い止められる