読書感想文

読書感想文を書くための私的ブログとなってます。@kansobun_bookでインスタしてます。

vol.41 子どものまま中年化する若者たち

鍋田恭孝著 幻冬社新書

・最近の子供の特徴としては以下のようなものがある。

体力の低下、統合能力の低下、生きること全般へのエネルギーの低下、群れなくなった、コミュニケーション能力の低下、内向的で変わろうとしない、何か将来へのビジョンがなく流されるように生きている、素直で優しく言うことを聞く。

 

・このような生き方になった理由はいくつかある。

①学歴社会の崩壊といった「目指すべき理想像」がなくなったこと。そのため、成らなければいけない姿と現実の自分との解離で悩まなくなった。素直に大人の言うことを聞くようになったのもこのためか。

②バーチャル世界の発達。バーチャルな世界では時間軸やコミュニケーションが断片的になりがち。

③家族関係濃密化。目指すべき理想像の崩壊によって、家族関係が最も頼れる存在であり、そこに培養されるような環境が生まれた。また、親自身も子育て経験の減少や自身がその崩壊を経験し、目指すべきものを持っていないことも影響。

④社会からの理不尽が解消されたが、身の回りの理不尽が解消されたから。理不尽は、群れること、対抗心、絆などを形成されるようになったが、今はキャラ、空気を読むなど身の回りの理不尽に一人で戦わなければならない。

 

・そのために、現代では特有のうつ病アスペルガーなどが見られる。漠然とした不安を持ちながら、不満のない日々を生きている。

・以前は明確な差や激しい理不尽。または貧困もあったので強く何かを求める。そこにエネルギーが発生していた。

・そのため、学生運動自傷行為も激しかった。

・これは比較的に良い流れとも受け止めれる。以前はアメリカや豊かな暮らしなどのために、猛烈に突き進んでいった。それが、地に足をついて自分の国ではどうなのかと言う観点を持っている。「森は静かに燃えている」状態。他人に親切にしながらも、領分は侵さず、四季を楽しむような植物的な生き方が理にかなっているのではないか。

・ただ、大人が用意したシステムをそれなりにこなすだけで自己万能感を持ってしまうのは問題。社会に出てから打ちのめされる。

・理想な子育て

①親自身が大切にしているもの。もしくは、夢やビジョンを持つ。

②出来るだけ大人数で暮らす。他者とのコミュニケーションを通して自己を相対化する。

③枯渇感を体感させる。枯渇感や貧しさは得られた喜びを得られる。

④体で覚える体験をする。外界に働きかけ何かができる体験は自身を生む。

⑤様々なものを体験させて親がサポートする。