vol.53 幸せになる勇気
岸見一郎・古賀史健著 ダイヤモンド社
第1章
・教育、ひいてはアドラー心理学の一つの目標は「自立すること」である
・自立のために欠かせないポイントは尊敬である。これは「ありのままの相手を見る」という意味。その具体的な一歩は他者の関心事に心を寄せること。
・カウンセリングで使われる三角柱「悪いあの人」「かわいそうな私」「これからどうするか」
・独裁者であっても「愛」「尊敬」を集められるとは限らない。
第2章
・教室は民主主義国家であるべき。先生による強権的な姿勢は良くない。
・問題行動の目的は5つある①称賛の要求②注目換気③権力争い④復讐⑤無能の証明
これらはいずれも共同体の中にいる「所属感」「集団の中で注目を浴びる特別感」を得たくて行なっている。
・暴力は相手を安易かつ低コストで従わせようとする安直なコミュニケーションである。本来、コミュニケーションは時間をかけてゆっくり行うものであり、それを放棄する行為は人間として未熟な行為である。
・だから、叱ったり、怒ったりする人は本能的に未熟な人と判断され尊敬を得られない。
・教育において大事なことは決定権があることを知らせ、教育者はその援助をすることである。
第3章
・人間はその存在自体が弱く不完全な存在である。そのため、様々な人と協力して生きていくやり方を選ばなければならない。共同体感覚は身に着けるものではなく、自身のなかにあるものを掘り起こすこと。
・褒賞は「もっと誉められたい」というイメージが起こり、競争を生んでしまう。この場合、「身の回りにいる人は自分の敵だ」というライフスタイルになってしまうため、幸せになれない。
・承認に終わりなく、際限ないものになってしまう。承認は自分の幸せを他人軸に投げてしまうことになる。
・私の価値を私が認めることが自立である。
・また、他者を救済することで自分を救済するという「メサイア・コンプレックス」というものがある。救世主になりたがるのもこの理由。
第4章
・信用とは条件付きで相手を信じること。信頼とは無条件で相手を信じること。「相手を信じる自分を信じる」という意味で、自己信頼あっての他者信頼。
・人生のタスクのうち、仕事のタスクは利害が重要視されることから信用するかしないかになるが、交友のタスクは信頼がベースになる。
・仕事のタスクは信じるという選択肢しか残されていない。人間は、厳しい自然環境から生き残るために群れをなしたが、その群れを強固にするために「分業」の概念が誕生した。分業においては利己心を希求した先に他者貢献が得られる。
・そのため、職業に貴賎は存在しない。その仕事は共同体の中の誰かがしなければならない仕事であり、人間の価値を規定するなら「どの仕事をしているか?」というより、「どんな態度で仕事をしているか?」が大事になってくる。
・一番危険なのは中途半端な正義を抱え、他の価値観を排除した挙句、「正義の介入」をしてしまうことである。
・人付き合いにおいて傷つくことを恐れるのはよくわかる。人間は絶対に分かり合えない存在であるからこそ、他者に信頼を置かなければ交友の関係を満たすことはできない。人生の喜びも人間関係でしか得られないため、交友のタスクは避けるべきでない。
・また、他者を愛するには自分を愛している(受け入れている)のが最低条件である。自分を愛していなければ、関心は他者に向かず、自分にしか向かない。
第5章
・今までは「自分の貢献感、自分の幸せ」が大事だったが、愛のタスクは「私とあなたの幸せ」になる。人生での主語が切り替わる。ここから、共同体感覚に近ずけられる。
・アドラーの言う自立とは「自己中心性からの脱却」である。愛のタスクはこの脱却のためにある。この世に生まれた当初はその弱さ故に、弱さを打ち出すことで自己中心性を確立していく。いつまでたっても、トラウマ、家族関係などを持ち出して自分に注目してほしいというライフスタイルを選ぶ人がいるが、これはダメ。
・人間は自身の生存戦略として「どうすれば愛されるか」を思考する。これは一人では生きていけない人間にとって立てがちな戦略だが、自己中心的と言わざるを得ない。他者を愛することで大人になっていく。
・ちなみに、第一子は保守的、第二子は革命、一人っ子はマザコンになりやすい。
・ともかく、自分が愛すること。あの人は好きかもしれないという担保を得られてから築こうとするのは自分の劣等コンプレックス的発想。そこから先は課題の分離。
・アドラーは運命を否定している。運命の人がいる!の思考は可能性の中を生きることであり、甘え。出会いがないと思っている人に多い。愛することは決意、決断。
・側にいる人と手をてり、精一杯のダンスをすることから始める。運命もこの何もない状態から始める。
・運命くらい、自分で作り出せ。(星の王子様形式)
vol.52 「睡眠第一!」ですべてがうまくいく
・まず、日本は先進国の中でも特に睡眠不足の状況になっている。睡眠不足は自分の体の異変に気づく自己モニター力、成長ホルモンの更新が行われないことによる老化、自律神経系の乱れを引き起こす。
・睡眠時間の不足は、セロトニンの活動を鈍らせる。このことにより、自己肯定感が減少する。日本が自殺者が多いのはここに理由がありそう。
・寝ることによって生産性が向上する。また、記憶の定着にも役立つ。
・睡眠時間は7時間は欲しいところ。生活の中で寝ることを最優先で割り振り、仕事や家事を段取りをつけて一気に片付ける。
・帰宅時間が遅い時もあるかもしれないが、帰ったらすぐに寝ることを意識すること。昼寝は応急処置に留め、休日の寝だめは行わない。
・子供も8時には寝かせるを目標にする。1週間頑張れば睡眠リズムは変えられる。自身が忙しい場合はシッターさんを雇うなど工夫する。
・家族の中でも特に寝てほしいのは母親。母親が自己肯定感が低くなったり、子供を叱責するのは良くないし、子供の心情にも悪影響がある。
・特に、趣味や仕事で忙しい母親が理想。
・料理は母親が独占せず、父、子にも振ること。料理は脳を育てるのに良いツール。
・睡眠の質を落とさないために「朝起きる」「肉体疲労、脳疲労を取ること」「昼寝、寝だめをしない」この3つが大事。また、リラックスするため、他愛もない会話をすることが大事。
・まず最初は朝早く起きることから始めてみる。朝起きるにはそれだけ難しく、慣れが必要。オススメは朝起きて電子機器を見ること。
vol.51 嫌われる勇気
岸見一郎・古賀史健 ダイヤモンド社
・アドラー心理学の解説に展開していく。
第1章
・答えは他者との対話の中で自分の気づきによって得られる。他人がくれた回答はあてにならない。
・アドラー心理学の特徴は「結果論」である。原因論(〜だから、〜)というものは存在しない。そのため、過去のトラウマを明確に否定している。
・生きる焦点は「今ここに」である。そのため、過去や未来に焦点を当てない。
・ライフスタイルは自分で選べるものであり、変わらないのは変わらないという決断をしているということになる。
第2章
・全ての悩みは人間関係に起因している。
・そこから生じる「劣等コンプレックス」「優越コンプレックス」を持ってしまう。
周りに対して、こうしたコンプレックスを持つと、世界を敵と見てしまう。
・アドラー心理学の目標は
行動面
・自立すること・社会と調和して生きる
心理面
・わたしには能力があるという意識を持つ・人々はわたしの仲間であるという意識を持つ
・対人関係として向き合わなければならないもの(タスク)は3つある。
①仕事のタスク(仕事における対人関係)②交友のタスク(友達関係)
③愛のタスク(恋愛・家族関係)
このタスクは逃げずに向き合っていなければならない。様々な口実をつけてこれらのタスクを避けることを「人生の嘘」という。
第3章
・アドラー心理学では承認要求を求めることを否定している。賞罰(褒める、しかる)というのは他者の評価軸で下されたものであるため、他者の評価軸で生きるということになりかねない。評価は操作の側面を持つ。
・また、他者と自分とを区別するために「他者の課題を切り捨て、介入しない」ことが大事である。課題の区別は解決の帰属先を考える。
・この考えが持てれば対人関係のカードは自分が持つことになり、優位に立ち回れる。
第4章
・個人心理学の側面であるアドラー心理学のゴールは「共同体感覚」である。
これは「わたしがここにいてもいい」という感覚である。
・この存在の肯定を促すには存在レベルでの感謝・勇気付けを与えることが重要。これにより全体への貢献感が持てる。
・人間関係は「同じではないけど対等」「横の関係性」で見る。縦軸で見ると優劣が発生するために褒める・しかるといったことが出てくる。
・この姿勢をまず自分から始める。
第5章
・共同体感覚を持つには「自己受容」「他者信頼」「他者貢献」の3つを持つこと。
・自己受容は自分を肯定するのではなく、できる・できないを見極めてその自分を受け入れる肯定的諦めである。
・他者信頼をする時は無条件で行うこと。
・他者貢献も承認要求を通して得たものは自由がないため使いずらい。
・アドラー心理学の生き方の勧めは「ダンスするように生きる」である。これは、その時にある刹那を焦点に生きることである。未来や過去に焦点を当てると、その時点を起点にして「仮の人生」となってしまう。
・人生は点の連続で線ではない。点の行く先はわからないため人生設計とか不可能。
・他者に貢献するという導きの星に従い、生きていくことがオススメ。そこから自身の人生に意味を与えるべき。
・また何か特別な存在になろうという生き方は他者へのマウンティングになるため、普通であることを受け入れる勇気を持つべき。
vol.48 FACT FULNESS
ハンス・ロスリング著 日経BP社
・まず人間には10の本能がある。これらの本能は正常な判断を妨げてしまうことがある。
①分断本能②ネガティブ本能③直線本能④恐怖本能⑤過大視本能⑥パターン本能⑦宿命本能⑧単純化本能⑨犯人捜し本能⑩焦り本能
①分断本能
人は上か下かの2項で比べてしまいがちだが、現実としてはその中間が最も多い。
例)貧困のレベルは中間が多い。
②ネガティブ本能
ネガティブなニュースや記事は目に付きやすい。悪いと良いは共存する。
例)平均寿命や所得の変化は好状況。
③直線本能
グラフはまっすぐ伸びると勘違いする人が多いが、必ずどこかで曲がるもの。
例)人口はすでに頭打ちの段階にあり、人口爆発は抑制方向に。→女性一人当たりの出産数の減少
④恐怖本能
人間は恐ろしいものに自然と目が行ってしまう。
例)戦争や紛争による犠牲者数はかなり少ない状況。だけど多く感じる。
⑤過大視本能
ただ一つの数字が出され、多く感じる。
例)昨年は420万人の赤ちゃんが亡くなったが、これまでと比べると圧倒的に少ない。
⑥パターン化本能
同じようなパターンがあったら、そこだけを根拠に決めつけてしまうこと。
例)ユニセフ向けに安価なワクチンを製造していた会社は金利を使うことで原価以下の値段で提供できた。裏はない。
⑦宿命本能
いろんなものはゆっくり確実に変化するもので、宿命なんてものはない。
例)すでに女性は平均で9年間教育を受けられるのに、女性は教育を受けられないものと決めつけてしまうこと。
⑧単純化本能
一つの視点だけでは世界を完全に理解できないこと。
例)民主主義は完全ではない。
⑨犯人捜し本能
誰かを犯人として特定してその改善を目指すやり方は間違ってる。
例)二酸化炭素を排出しているのはレベル4の暮らしをしている人であり、レベル1の人がそのままの暮らしをしろというのは間違いである。
⑩焦り本能
今すぐに決めなければならないという思い込みは誤った判断をしてしまう。
例)道路を封鎖した著者のミス
このように知識をアップデートするとともに、事実に基づいた冷静な見方をすることが大事である。
vol.47 0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書
・日本ではSTEAM教育が積極的に行われる必要があるが、それでは言語、物理、数学、アートなどの要素が不足する。
・現行の教育では受験のための勉強という面が強い。実生活にも役立てる方策を探るべき。
・アートを鑑賞するときは、何が見えるかを考える。前提知識の確認であってはいけない。
・ロジカルに物事を話すことを目指す。子供の質問にはなぜを返すことで話を展開する。
・とにかく、答えをすぐに与えず、考えさせ、親が口を出しすぎないこと。
・誰かの基準を正しいと信じて、そこに擦り寄るのではなく、自分が何を正しいと考えて行動していくこと、考えることが重要。
・また、自分が好きなこと、出来ることも考え続ける。
・リスクを取って行動する時代に。金がある人よりも借金できるような人になるべき。労働者ではなく投資家に回ること。
・プログラミング、リベラルアーツなど、それを学ぶこと自体を目的としないこと。それを学んでどうしたいか見極める。
・また、論理的に全てを処理するのではなく、佇まいなど目に見えない所にも注視すること。
・大学選びは偏差値ではなく、研究資金など財務で決める。