読書感想文

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vol.75 悩む力

姜尚中 著 集英社新書

 

第1章「自我」

・真面目であること。

社会の解体が進み、個人の時代になると、自我の肥大化が起きてしまう。自我と自己チューを履き違えている人は多い。他者との関わりが大事である以上、自我の城を築いてそこに籠城している様ではつまらない。これをオープンにして、いくことで、他者から承認をし合うことで自我が初めて出来上がる。

 

第2章「金」

・できる範囲で金を稼ぎ、稼いだ範囲で生活する。

グローバル化していく中で、お金のやりとりも盛んになっていく。小市民はお金に困っていることが多く、その獲得を目指している。ただ、今の世の中は資本主義が極端になりすぎている。漱石ウェーバーは節操のない人を批判している。

 

第3章「知性」

・むやみやたらと知識の習得をするのではなく、適度な形に限定して、その世界を網羅する。

物知りと知性を履き違えている人が多い。科学的な現象としての知識ではなく「あの時期のあそこの漁場では良質な魚が取れる」など、伝統的に受け継がれてきたものも「知」である。膨大な情報がある今の世の中で、ある程度区切りをつけるのは必要なことかも知れない。

 

第4章「青春」

・青春は歳でなく、とことん悩み、考える時期である。

青春は歳ではない。自分の存在、他者との関係などを考え、とことん悩む時期のことである。最近の若者は、要領がよく淡白な感じがある。これでは、変に老けてしまい、老成しない。何がなんだか分からないけど、行けるとこまで行くしかない。

 

第5章「信じる」

・自分の確信が得られるものを信じる。それが得られるまで悩み抜く。

スピリチャルなものが本当に多い。それに心酔しているというより、自分の都合にいい部分を頼るというのが現代の特徴。ただ、これは理解できることで、昔は、宗教などがその役割を果たしているが、宗教などが駆逐されつつある現代、何か信じれるものは欲しくなる。

 

第6章「働く」

・働くのは、金を得るというのに留まらず、他者からのアテンションを得て、社会の一員になるための生業である。

・その点、サービス業は人格を取り戻すいい仕事。

働くのは社会の一員として認められるために行うべき。金があるから働かないというのも寂しいもので、コンプレックスを抱えてしまうだろう。第3次産業化は、機械化がヒューマンマシンの仕事を奪って、人格を取り戻すという点で歓迎。

 

第7章「愛」

・付き合うというのは、チェスをしている様なものだ。相手の出方に対して自分が反応する、刻々と移り行く盤面の様に変わる、思いの変化。

愛とは、相手の反応に対して自分が答えていく意欲のことである。

関係性もその時々で変わる。幸せになりたいから結婚するというのはなんか違う。

 

第8章「なぜ生きるか」

・詰まるとこ、他者との関わりを経て、自分の生きる意味を確信しているか

自分の存在意義を見出せずに自殺してしまう人は多い。また自殺に対する抑止力を持った慣習も働かなくなってきている。だから、悩みぬいて納得できる答えを編み出せってこと。

 

終章「老い」

・老いて最強になれ

老人に求められるのは突き抜ける力である。死を受け入れて、怖いものなしに挑んでいくことが大事である。一身にして二生を生きる。