vol.105 世界を変えた10冊の本
池上彰 著 文春文庫
ユダヤ人の少女であるアンネが、ナチスドイツの弾圧から逃れてオランダで身を潜めている最中を綴った物語。この本により、ユダヤ人に対する同情を誘い、イスラエルのパレスチナ侵攻に対して強く出れなくなった。
②聖書
旧約聖書と新約聖書のどちらも。旧約聖書はユダヤ人の律法をまとめた物で、新約の方はイエス・キリストが誕生してから、その言葉をまとめた福音書の紹介。
③コーラン
イスラム教の聖典。ムハンマドが天使ガブリエルから伝えられた神の言葉を頑張って翻訳した内容。ジハードやイスラム教徒が守るべき五行などを収録してある。
④プロティスタンティズムの倫理と資本主義の精神
プロテスタントが多い国が資本主義として発達したことから、資本主義が発達したのはプロテスタントの「天国に行ける人物は既に決まっている」という予定説に従い、自らがそれに選ばれていると確信するために懸命に働いた結果もたらされた物だということ。現在では宗教的な消え、懸命に働くという部分が残っている。
⑤資本論
貨幣には交換価値、使用価値の他に貯蔵価値があることを示し、労働者を商品として搾取して富が蓄積されると格差社会が生まれ、革命が起きて資本主義が崩壊するとした本。本書では、それに取って代わる社会主義や共産主義の内容について言及していないが、ロシア革命や中国での毛沢東による共産主義が誕生するきっかけに。
主権は国民ではなく神のみが持っており、堕落しきったイスラム教徒やイスラム教が布教していない地域である無明社会を敵としてジハードを仕掛けるべきだとする内容。世界中でテロを起こすイスラム過激派の思想の根底にあたる。
⑦沈黙の春
農薬DDTの影響と農薬の具体的な代替案を提出した名著。現在の資本主義を経営者の方に重きを置きすぎているとして消費者のための中立機関(日本でいう消費者庁)の設立も訴えた本。
⑧種の起源
生物は進化を繰り返して環境に適した形へと進化を遂げていると述べた本。それまで宗教の生き物は全て神様が作られたとする創造説を覆し、弾圧をうけることになるが、遺伝子学、分子生物学に大きな影響を残す。生物学の外で、適者生存の理論で社会ダーウィニズムが起こる。
⑨雇用、利子、および貨幣の一般理論
不況時には、政府が公共事業への支出を増やすべきだという現代の常識を生み出した本。それまでは、不況時においても政府が手を出すべきではないとされていた。ただし、好況になっても支持者や経済界からの圧力で財政切り詰めと赤字の解消を後回しにし、ギリシャやポルトガルなどが慢性的な財政赤字になっている。
⑩資本主義と自由
前の一般理論とは打って変わって、小さな政府・新自由主義の元になった本。国立公園・農作物の買取保証制度・最低賃金なども要らないとした。また、経済は不安定でコントロールできないという見解のもと通貨の変動相場性や景気には政府の財政出動より、金融政策で流通量を増やすといった内容を提唱。こうした自由主義は強者の論理で格差の増長になる気がする。